遺言書をつくれば自分の願いが叶う

財産を自由に分配できる

あなたは、自分がいなくなった後、可愛い孫や仲の良い兄弟姉妹、幼い愛娘や息子が心配になりませんか?何十年も会っていない甥や姪、縁を切った息子よりも、大切な人、お世話になった人に残したいと思いませんか?遺言を書くことで、あなたの願いが叶います。
遺言に記載できることはたくさんあります。以下はその例です。
(1)法定相続人以外へ遺贈する
(2)法定相続人に財産を残さない(これを「廃除」といい、特別な理由があり、それが家庭裁判所で認められた場合の特例です)
(3)全くの他人に財産を与える
(4)事業を特定の人に承継させる
(5)幼い子どもの世話を頼む
(6)寄付
(7)葬式・お墓の希望を伝える(「遺骨を思い出の海に捨てて欲しい」ということも可能です)
(8)家族への感謝の気持ち
このように、遺言を書くによって死後叶えられることは多くあります。

遺言書の有無で、家族の絆を守れる

あなたは遺言にこのようなイメージをお持ちでないですか?「自分の財産は家族で上手く分けてくれるだろう」、「遺言は、自分が死ぬ間際にすればいい」、「遺言は、それこそ膨大な資産をもっている人が書くもの」、こう考えてはいませんか?実際、このように考えて、遺言を残さずに亡くなる人がたくさんいます。

しかし、残念なことに、これらの結果として、固い絆で結ばれているはずの家族などが、あなたの遺産をめぐって争うということが数限りなく起こっています。例えば、あなたに子供が二人いたとして、彼らの仲が良く見えていたとしても、周囲の人々の思惑や特別な事情で、スムーズに遺産分割が行われないことがあります。そのようなときに、遺言が一つあれば、愛する子供たちが互いに争うという事態は避けられます。

遺言書をつくれば争いが減る

遺言書がないために起こる争いが後を絶ちません

遺産をめぐる争いの件数は、近年着実に増え続けています。今後も、団塊の世代の一斉退職により、いっそう増加することが予想されます。未だ、遺言の作成件数は7万件程度で、争いのほとんどが、遺言書を書いていなかったことによるものです。

遺言書は、財産の大小に関係なく書いた方がよい

「遺言書は、お金もちがするべき」というイメージをお持ちではありせんか?しかし、たとえ全財産が100万円であっても、それが目の前にあれば欲しくなってしまうのが人間というものです。また、あまり実感は湧かないが、大きな財産を所有しているということもあります。例えば、普段暮らしている家や、死亡した際の保険金などです。実際、何億円という莫大なものではなくとも、人の目を惹く財産というものは、多くの方が有しています。その財産が、自分の死後に遺言書がない場合に、遺族間の争いを招くかもしれないのです。

公正証書遺言が安全で確実

遺言書にはさまざまな種類があります

遺言書には、まず普通方式と特別方式があります。ここではその中から一般的なものを選んで説明します。

自筆証書遺言は最も簡単だが最も不安(普通方式の一つ)

自筆証書遺言とは、自分で全てを自筆で作成する遺言書です。これは、遺言書の存在を誰に知られることもなく、費用も小さくて済むという利点があります。遺言書作成のノウハウを熟知している場合は、これが最も簡単な手段です。
しかし、日本における遺言の規定は非常に厳格であり、一般の方が参考書を読みながら作っても、法的な効果をもつための基準を充たさず、執行されないということが多くあります。執行されなければ、あなたが死んだ後も守ってあげたいと思う人がいても、その願いは叶わないことになります。また、偽造や紛失、盗難の恐れがあります。また、開封時に家庭裁判所の検認続きが必要となり、手間もかかります。
ただ、(1)不動産などの高額な財産がない、(2)専門家と相談しながら作成する、といった場合は、自筆証書遺言でも構わないでしょう。もし仮に無効となっても、遺産が少なかったり、分割できない不動産などがなければ、相続人間の争いが起こることも少ないでしょう。また、専門家と相談しながら作れば、自筆証書遺言が有効となる確率は上がるでしょう。

安全確実な公正証書遺言(普通方式の一つ)

公正証書遺言とは、法務省大臣により任命される公証人が作成する遺言書です。公正証書遺言のメリットは、(1)公証人が作成するため、形式の不備などで無効となってしまう事態を防げる、(2)公証人が作成するため、文書に対する信用が高く、検認の手続きが不要で、被相続人の死後すぐに開封できる、(3)公正証書は全国の公証人役場で、その存在の検索や、内容の確認ができる、(4)公正証書は公証人役場で保管されるため、偽造の恐れが少ない、(5)体の不自由な方でも、言葉で遺言内容を公証人に伝えることさえできれば作成できる、(6)何らかの理由で公証人役場まで行くことができない場合、出張を依頼することもできる、といったことです。
公正証書遺言を選ぶべき場合としては、(1)確実に叶えたい願いがある、(2)不動産など高額な財産がある、(3)特別な理由で自筆証書遺言がつくれない、(4)「廃除」など、相続人の遺留分を損なうような遺言をする、といった場合があります。

臨終間近の場合

一般臨終遺言(特別方式の一つ)

一般臨終遺言とは、例えば、病気などで余命の短い人が遺言を書く場合に、遺言者の言葉を証人一名が文章化し、証人全員に聞かせて確認し、全員が署名押印するという方法です。

一般臨終遺言で注意しなければいけないこと

しかし、注意しなければならないのは、遺言者が痴呆症を患っている場合や、死を間近にして、乱心状態であった可能性がある場合です。それらを争点に、遺言書の法的有効性が争われることがあります。なので、よほど時間のない場合でなければ、公証人や弁護士などに、公正証書遺言を依頼することが望ましいでしょう。

弁護士に依頼すれば安心

遺言書が無効となりにくい

遺言書には、非常に厳格な方式が規定されています。また、遺言書が執行される際、相続人間の争いが起こりやすくなります。そこで、法律に精通した、中立な第三者である弁護士に依頼することがよいでしょう。費用は一般的に高いと言われていますが、それも最近は変化してきていますし、事務所によって千差万別です。いくつかの事務所をあたってみることをお勧めします。

遺言の執行がスムーズになる

遺言は、書いただけで自動的にその内容が実現されるわけではありません。被相続人が亡くなった後、実際に行動を起こす人が必要となります。それが、遺言執行人です。遺言執行人は、亡くなった人の望みを叶える重要な役割です。遺言執行人を設定しないと、執行が難航します。たとえば、相続人全員の判子が揃わないと、不動産や預金の名義変更などは実現しません。遺言執行者を設ければ、遺言執行者の判子のみで、相続が実現します。
また、遺言執行者は誰に任せてもよいのですが、不適切な人に任せると、執行によって自分に不利益が生じると考えた場合に、なかなか行動してくれないということもあり得ます。ゆえに、弁護士などの中立的な第三者を指定しておくと、遺言に書いた内容がより確実に、スムーズに実現できます。

いい弁護士の選び方

専門分野を調べましょう

弁護士でも、それぞれ専門分野は異なります。遺言の内容によって法的な問題が起こる場合もあるので、遺言を専門としているのかどうか、依頼前に調べてみるとよいでしょう。

経験豊富な弁護士

できるだけ経験が豊富な弁護士を選びましょう。遺言とは、依頼者にとって大切な人への最後の願いです。これを正確に理解して、遺言書に反映させられる弁護士が好ましいでしょう。経験が浅い弁護士は、適切な判断ができません。

話をよく聞いてくれる弁護士

親身になって話を聞いてくれる弁護士を選びましょう。残念なことですが、弁護士の中にはプライドが高く、偉そうに振舞ったり、高飛車な言い方をする人が多く、そのような弁護士と信頼関係を築くのは難しいでしょう。

安売りしていない弁護士

安売りしていない弁護士を選びましょう。遺言書の書面作成費用としては10万円~20万円、相談料としては30分5000円が一般的なので、それ以下の場合は安売りをしていると思ってください。安売りしている理由は2つ考えられます。1つ目は、事務所の経営が危ないので、安売りしてでも稼ごうとしている場合です。そんな弁護士は切羽詰っていることが多いので、依頼者の立場に立って仕事をしてくれるとは限りません。2つ目は手続のほとんどを事務員に任せて、コストダウンしている場合です。依頼者が弁護士と会うのは最初の数分だけで、書類作成などは全て事務員任せということがあります。弁護士一人が数百件の事件をかかえているので、依頼者一人ひとりの情況にあった解決方法など考えてくれません。大規模の事務所によくあるケースです。

無効となったり罰金を科されることも

音声、映像、ワープロは無効

遺言書は「書面」にすることが義務付けられています。たとえば、ビデオなどの音声や映像、パソコンなどで作成したものは、無効となります。また、自筆証書遺言については、全文自筆が義務付けられているため、家族などの誰かが代筆してしまった場合は認められません。公正証書遺言の場合は、公証人が文書を作成するので、遺言者が記入するのは、最後の署名のみとなります。

被相続人の死後も開封してはいけません!

死後、家庭裁判所の検認の手続が必要となりますので、絶対に開封してはいけません。検認なしに開封してしまうと、遺言自体は有効のままですが、5万円以下の罰金が科されます。通常、家庭裁判所に申し立てをしてから1~2ヶ月ほど掛かります。

保管は遺言執行者に依頼しましょう

保管は、遺言執行者に預けましょう

自筆証書遺言の場合、自分で保管することも可能ですが、紛失や偽造を防ぐためにも、遺言執行者に預けておくことがよいでしょう。

遺言執行者に金融機関の手続きの権限を与えましょう

特に貸し金庫などについては、そのような権限をもっていることが重要となるケースがあります。

変更・訂正は丁寧に行いましょう

遺言の内容の変更・訂正は細かく行いましょう

遺言は、一度作成したものの内容を変更ないし訂正することができます。その際、あなたの考えがそのまま実現されるように、「元の内容のどの部分をどう変更・訂正する」というように記載することをお勧めします。

財産分配をわかりやすくしましょう

本来の相続人が誰となっているのかを調べましょう

遺言書を作成する前に、法定相続人と、法定相続分を調べておきましょう。それと全くかけ離れたことを遺言書に書くと、トラブルを招くかもしれません。

基本的に、戸籍上の配偶者、子ども、父母、兄弟姉妹が含まれます。

「遺留分」に気をつけましょう

遺留分とは、遺言書の内容に関わらず、相続人は全体の遺産のうち一定の割合を与えられることができるとい権利のことをいいます。これを侵害する遺言書を書いた場合は、その差額を相続者が請求することができます。

自分の財産を細かくチェックしましょう

死後に相続が執行される際、遺言書に記載されていた額が実際の財産高と異なっていた場合、相続人間でトラブルが発生するかもしれません。そこで、財産のリストを作成する必要があります。土地の時価などの変化を随時書き加えておけば、遺族はとても感謝するでしょう。

財産の所在を明確にしましょう

預貯金や不動産などの重要な財産は、口座番号や所在地などを正確に明記する必要があります。

予備的遺言

遺言書に記載されていない財産の存在が判明した場合、または、相続人が自分より先に死んでしまった場合を考え、そういったときに誰に与えるか明記しておきましょう

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